白内障はサプリメントで症状を改善できますか？

白内障が発症し水晶体に濁りが生じている場合、サプリメントによる改善は期待できません。白内障による水晶体の濁りは、「クリスタリンタンパク」というたんぱく質が加齢やストレスなどにより変質するのが原因で、一旦変質を起こしてしまったたんぱく質は、サプリメントでは元に戻せないからです。

なお、医療機関で点眼薬などが処方されることがありますが、それはあくまでも進行の抑制や予防を目的とするものです。すでに発症している白内障の治療には、水晶体を除去し眼内レンズを挿入する外科手術が必要になります。

2015年に「新機能性表示」が導入され、サプリメントにも成分がおよぼす一部の効果（例：目によい、など）を表示できるようになりました。そのため、消費者の中には「病気に効くのでは？」と期待される方がおられるかもしれません。しかし、サプリメントはあくまでも「食品」であり、薬のような外見をしていても、病気を治療するはたらきはありません。

サプリメントは栄養補給や健康を保つ目的で、食事の補助として摂取するものです。成分の効能にしても、科学的根拠（エビデンス）を厳密に立証する必要は求められておりません。

一方、薬品は厚生労働省の基準に基づき、高度な臨床試験が行われます。根本的にサプリメントと薬品は異なるものと考えてください。

サプリメントでは白内障の症状改善は期待できませんが、発症および進行を予防する可能性があると示唆する報告もありますので、食事が不規則になりがちな方は、食生活のサポートとして検討してみるのもいいでしょう。

• ルテイン

「ルテイン」は、ケールや赤しそ、モロヘイヤなど、緑黄色野菜に多く含まれるカロテノイド（色素）で、人体では眼球の「黄斑」という部位に多く存在します。

ルテインの持つ黄色の色素は、目に障害性の強い青色光（ブルーライト）を吸収し、活性酸素を除去するはたらきがあります。しかし体内では合成できないため、食物から積極的に摂取する必要があります。日本眼科学会では、加齢黄斑変性発症予防に向け、ルテインを主成分としたサプリメントを摂取することが推奨されています。

• ゼアキサンチン

ゼアキサンチンはルテインと同じく眼球の「黄斑」に多く存在するカロテノイドで、食物ではパプリカやとうもろこし、サフランなどに豊富に含まれます。ルテインとゼアキサンチンはサプリメントに同時配合されることがほとんどで、お互いを補い合うことで青色光から目を守るはたらき高まるといわれています。

• ビタミンC

ビタミンCは体を酸化から守る抗酸化力にすぐれた成分です。目の組織内のビタミンC濃度が高く保たれることで、加齢による白内障の発症原因である、水晶体の酸化によるたんぱく質ダメージを抑えるはたらきが期待されます。食事やサプリメントで常に補うことは、健康維持にもつながるでしょう。